「お塩ひかえめ 第3回ピアノ発表会」
日時:2010年10月31日(日)13:30~16:17(休憩10分)
会場:東京・白寿ホール
出演:塩谷哲、お塩ひかえめ会員17人、司会:藤田みさ
【演奏曲目】
曲名 | 主な収録アルバム | |
---|---|---|
★ | (演奏:塩谷哲) | |
Keep Smiling! | 「SALT」「PIANIZMIX」 | |
★ | 発表会(演奏:お塩ひかえめ会員) | |
01 | Wishing Well | 「Wishing Well」 |
02 | 4→0→10→5 | 「Hands of GUIDO」 |
03 | Preciousness | 「solo piano = solo salt」 |
04 | 2つの「メヌエット」 | 「solo piano = solo salt」 |
05 | Tender Eyes | 「PIANIZMIX」 |
06 | Forest | 「SALT III」 |
07 | もみの木 | SALT & SUGAR「CONCERTS II」「DIARY」 |
08 | 組曲「工場長の小さな憂鬱」より VI ニンフの囁き~VII 彩られる明日へ |
「solo piano = solo salt」 |
(休憩) | ||
09 | Spanish Waltz | 「EARTHEORY」「DUET with Makoto Ozone」 |
10 | A Little Lullaby | 「SALT III」 |
11 | Earth Beat | 「SALT II」 |
12 | Preciousness | 「solo piano = solo salt」 |
13 | Deep Affection | 「EARTHEORY」 |
14 | Trans Cafe | 「PIANIZMIX」 |
15 | 「インヴェンション」より第1番 | 「solo piano = solo salt」 |
16 | 2つの「メヌエット」 | 「solo piano = solo salt」 |
17 | 組曲「工場長の小さな憂鬱」より VI ニンフの囁き~VII 彩られる明日へ |
「solo piano = solo salt」 |
★ | (演奏:塩谷哲) | |
Life With You | 「SALT」 | |
Side By Side (We Go) | 「SALT III」 |
*作曲者は全て塩谷哲(4、15、16を除く)
*4、16はC.Petzold(伝J.S.Bach)15はJ.S.Bach
白寿ホール最終日は発表会です。
「お塩ひかえめ ピアノ発表会」とは、ソルトさんのファンクラブ「お塩ひかえめ」の会員の方によるソルトさんの曲の演奏の発表会です。
白寿ホールという立派なホールで、背中からはソルトさん、客席からは会員やお客さんが聴き耳を立てる中、ピアノを弾きます。
前回は2008年7月に行われ、今回で3回目。
すっかりイベントとして定着してきました。
こういう会自体が珍しいのではないでしょうか。
アーティスト本人の前でその人の曲を弾くという・・・
ソルトさんとファンとの距離の近さ(ライブ後にほぼ毎回サイン会や握手会がある)と曲への親しみやすさ、思い入れ度、そういったものが企画を成り立たせているのだと思います。
難しい曲ばかりなのですけど。
私はピアノは弾けませんが、今回も観客として参加しました。
この会のいいところはソルトさんの一曲一曲についての思いが聞けるということにもあります。
演奏が終わるたびにちょこっと話されるエピソードに「へえ~」と思うことがしばしば。
今日は「こう弾くようにすればもっといいよ」というアドバイスも一人一人にもらえるとのこと。
「僕よりうまいよ」演奏後の感想でソルトさんからよく聞かれた言葉です。
みなさん、楽譜に忠実にきっちりと弾かれるので。
それとテクニックもそうですが、曲への思い、その曲が好きで一生懸命練習したのだろうなということがよく伝わってきました。
ホントにミスもほとんどなく、いい音を出されている方もいらっしゃいました。
今回特に感じたのは、演奏者によって音色って変わるものだなあ、ということ。
プロのミュージシャンでも人によって異なりますが、それはピアノを弾く全ての人に言えること。
(ピアノだけでなく、どの楽器でもでしょう)
それを踏まえながら自分が表現したい音を出すには、うーんと練習しないといけないのでしょうね。
人生経験も必要かもしれません。
ソルトさんは「音には全て出てしまうから、こわい」とよく言います。
音楽を突き詰めれば突き詰めるほど、そこに行き着くのかもしれないな。
以下、曲別のソルトさんのワンポイントアドバイスを中心にメモしたことを書きます。
全てをメモできなかったので、抜けてるところやニュアンスが違うところがあると思います。ご容赦ください。
Keep Smiling!
これはソルトさん本人による演奏。
サラッと弾いています。
今日は自分のコンサートではないので気が楽だ、という言葉通り。
クラシックっぽくなったり、ドラマティックになったり、ラテンになったり、ワルツになったり。
最後のところもいろいろ、いろいろでした。
あれだけ自由に弾けると楽しいだろうな。
演奏後に「和みましたか?」とソルトさん。
1.Wishing Well
・素晴らしいです。僕よりうまい!
・敢えてアドバイスするなら、メロディだけ弾くという気持ちで。あとは付属物なんです。弾かなくてもいいぐらい。そうするとメロディがもっと際立ちます。
2.4→0→10→5
・メロディと内声を意識して弾いてたでしょ?曲を愛してくれているのがわかります。
・この曲は僕も楽譜がないと弾けないんです(笑)
・(楽譜には音がいろいろ書いてあるけど)これくらいでいいんです。(実際にピアノで弾きながら)こんなの弾かなくていいの!(笑)
・最後のところは僕は回想シーンのように弾いています。
・いい曲ですねえ、アドバイスしてるこの場も素敵ですねえ、と藤田みささんが感動。
3.Preciousness
・素晴らしい。大事に弾いてくださっている。
・ハーモニーが変わっていく曲。ペダルをどう踏むか。踏まないで練習するといいです。
4.2つの「メヌエット」
・この曲は僕だって練習しないと弾けません!
・(ソルトさんのアレンジには)変な音がいっぱいあるでしょ?(笑)変は変で弾けばいいんです。
5.Tender Eyes
・この曲はリズムが命であり、要(かなめ)です。低音をきれいに弾きたい曲。
・内声とメロディを対比させて弾くといい。
6.Forest
・どんどん上手になっている。メロディを響かせるように弾いてたでしょ。
・左手はもっと弱くていい。
7.もみの木
・嬉しい。大事に弾いてくれている。
・こういう曲は精神が現れます。
・左手をはっきりしながら、やさしく弾くといい。
8.組曲「工場長の小さな憂鬱」より VI ニンフの囁き~VII 彩られる明日へ
・組曲を途中から弾くというのはとても難しいんです。
・僕も練習しないと弾けません。
・ペダルを踏み続けると音が濁ってしまうので、濁らせるという意識を持って。(実際にペダルを踏みながら)僕はこうして2つずつ踏んでます。
9.Spanish Waltz
・(この曲は12歳の少年が見事に演奏。CDやYouTubeを聴いて譜面を起こしたそうです)
・素晴らしい!もう僕は引退しよう!
・♪ツータカタカターターター のところは僕は適当にズルして弾いてます(笑)
・最後はグァーーーっと盛り上がって。
・どうしよう!年齢は僕の半分だよね。もっとか!4分の1?そこまではいってないけど
10.A Little Lullaby
・やさしく弾いてくれてます。テンポ感がよくて曲を作ったときの気持ちで。
・最後のリフレインのところは(実際にピアノを弾いて)この音、この高い音を聴かせたいんです。やさしく弾くように楽譜にはテヌートで書いたんです。弾きながら歌う感じ。これはすごく難しいけど。
11.Earth Beat
・「Earth Beat」という会社を作ったんですけど。会社のテーマソングです(笑)
・元はオーケストラ用の曲なので、ピアノで弾くときは楽器のパートごとに違う人格で弾くんです。(実際にピアノを弾いて)指ごとに人格を変えてあげる。お前はホルン、お前はバイオリン、・・・というように。
12.Preciousness
・素晴らしい!ペダルの使い方が上手です。内声を聴かせたいというのが伝わってきて、響きがあって、深く理解してくれています。
・リフレインで2回目もゆっくりと夢の中にいるような感じで僕は弾いてます。霞の中に消えていくような。
13.Deep Affection
・難しい曲だけど、好きだという気持ちが伝わってきました。
(メモが判読不能です。申し訳ありません)
14.Trans Cafe
・素晴らしい。ほとんどアドリブでしょ?ソロで弾いたことないんだけど、僕もこう弾けばいいんだな。
・グルーブの曲は止まらない方がいいです。(実際にピアノで実演して)ほら、ほとんど弾いてないでしょ。(でも止まってないのでグルーブしてる。)どうしよう!というときは休むといいんです。グルーブを大事にする方がいい。
15.「インヴェンション」より第1番
・難しい曲です。僕も弾けません(笑)
・ゆっくり、噛みしめるように弾くといいです。急ぐ必要はないので。僕もいつも自分で言い聞かせています。
・(実際にピアノを弾いて)この旋律を聴かせたいんです。難しいですね。
16.2つの「メヌエット」
・うまい!しっかりしてる。安心して聴ける。
・僕のアレンジはパロディっぽいので、もっとおどけて弾いていいです。
・段落の始まりには重みを持たせてもいいです。
17.組曲「工場長の小さな憂鬱」より VI ニンフの囁き~VII 彩られる明日へ
・素晴らしい。(実際にピアノを弾いて)こうして流れていって、こうして静寂を破るイメージです。
・ここを聴かせたいんです。小指を意識して、聴かせたいところで右手で強烈に、こう。同じトップの音でも意味合いが違うんですよ。
・「ここを聴かせたい」というのは数年前までは考えもしなかったことです。クラシックを勉強しているとわかってきて。クラシックは深いです。
(ソルトさんのワンポイントアドバイスのメモ、終わり)
Life With You
Side By Side (We Go)
最後にソルトさん本人による演奏で締めくくり。
「ここを聴かせたい」という話や、リフレインでも弾き方を変える話、付属物は弾かなくてもいいくらいという話は、とても勉強になりました。
私がもやもやっと感じていたことがはっきりしたような。
そういう観点でソルトさんの演奏を聴くと、すごいなあと思ったり、なるほどと感心したり。
貴重な話を聞けて、本当によかったです。
演奏者全員で記念撮影をしてから、ホールの出口でソルトさんが一人一人をお見送り。
あったかい気持ちで終わりを迎えました。