塩谷哲 ピアノコンサート 2009 solo piano = solo salt tour (名古屋)

「塩谷哲 ピアノコンサート 2009 solo piano = solo salt tour」
日時:2009年5月9日(土)18:05~20:22(休憩15分)
会場:愛知・千種文化小劇場
出演:塩谷哲

ソングリスト

1.Don’t Know Why (Jesse Harris) / 「solo piano = solo salt」
2.2つの「メヌエット」(J.S.Bach ?) / 「solo piano = solo salt」
3.「インヴェンション」より第1番 (J.S.Bach) / 「solo piano = solo salt」
4.Life With You / 「SALT」
5.Mr.Madonna / 「solo piano = solo salt」

休憩15分

6.Three Views Of A Secret (Jaco Pastorius) / 「solo piano = solo salt」
7.Walk Alone (Makoto Ozone) / 「solo piano = solo salt」
8.組曲「工場長の小さな憂鬱」 / 「solo piano = solo salt」

アンコール

9.Preciousness / 「solo piano = solo salt」

※以下、あくまでも私個人の感想です。よろしければお付き合いください
※MCのところは、大体このような内容だった、ということを書きました。また、全ては書ききれておりません

名古屋のソロ、当日券で行ってきました。
千種文化小劇場は舞台の周りを客席が270度くらい取り囲む作りで、こぢんまりとして、好きな空間です。
ソロには打って付け。

富山では私は開演間際に着席して慌ただしかったのですが、今回は余裕もあり、会場もここだし、「さあ聴くぞ!」という態勢でした。

ソルトさんと向き合うような席だったので、手元は見えませんでしたが、演奏しているときの表情はよくわかりました。

ソルトさんは一般の出入口から出てきて笑いを誘います。
今日はいきなりやってくれました。

1.Don’t Know Why (Jesse Harris) / 「solo piano = solo salt」

サビっぽいところから始まります。
メロディはくだけた感じ。
サビはゆっくりと、くだけた感じで1コーラスが過ぎます。

スローに流れて、展開に入るところはソルトさんっぽく。
「やっぱり来た甲斐があったなー」と思います。

サビ~メロディにかけてのグルーブ感。
音の使い方にストーリー性を感じます。
ずっと続くメロディ。
やっぱり今日も何か違います。

低音がリピートされて、大きくなってポロンと鳴ってエンド。

MC

・後ろからも見られてますね。この会場はお金持ちの家みたいです。冬には暖炉がある家。今日は背中からの視線が多いなー。
・「solo piano = solo salt」というソロアルバムを出しました。言いにくいタイトルなのでみんなで唱和してみましょう。広島がうまかったんですよ。
・五連符ですね。(ピアノで弾きながら)「あかさたな、はまやらわ」
・(会場、唱和)素晴らしい!今度は客席を区切ってやってみましょうか。(唱和・・・)すごいです。1位です!
・このアルバムでは作曲家としてのピアノ、楽譜に書けるピアノを、ということで。今までいい加減にやってきた訳じゃないですけど。
・「メヌエット」を入れました。弾いたことある方もいると思います。代わりに弾いてください(笑)
・長調と短調の2つのメヌエット。作曲がバッハじゃなかったことが後でわかりました。

2.2つの「メヌエット」(J.S.Bach ?) / 「solo piano = solo salt」

馴染みがあって、ホッとできる曲です。
高音に優しさが感じられます。

弾き終わった後に笑顔。

MC

・バッハの「インヴェンション」もアルバムでやりました。
・クラシックの曲をアレンジするのは抵抗があったんです。クラシックのメロディを取ってきて違うものにするのは興味がなかった。メロディにメロディを重ねて旋律を追っかけていくような。
・学生のときに「スタンダードジャズピアノ クラシック編」というので頼まれて原曲をアレンジしました。それをリメイクしました。

3.「インヴェンション」より第1番 (J.S.Bach) / 「solo piano = solo salt」

原曲→アレンジ版の順で弾かれます。

原曲は力強く、アレンジ版には単に強いだけでない厚みを感じます。
間やテンポも変わるからですね。
アレンジしてるのだから当たり前の感想ですね。。

4.Life With You / 「SALT」

「インヴェンション」からスムーズに続いているような小さな即興へ。
少し間があって、この曲へ入ります。
「あっ、この曲にもつながるんだなあ」と発見。

1コーラスが終わった後、息をフーっと吐いて、間を取りながら進みます。
展開はスローに流れ、メロディを織り混ぜながら。

あらためて最初のメロディに入るときにグッときました。
気持ちが伝わってきます。

最後の音を出すときの顔は苦しそう。
一つ一つの音が終わりまで丁寧で心がこもっているのが感じられます。

MC

・「Life With You」はアルバムではピアノの周りにストリングスをズラッと並べて「せーのー」で一発で録音しました。思い出の曲です。そうやると音が被るんですけど、そのままで。臨場感がありました。
・ソロアルバムを出すのは怖かったんです。何を弾けばいいんだろう、と。気持ちとピアノが一体化しないとなかなかできません。
・今日もみんなすごい聴いてくれてますね。それがプレッシャーであり支えでもあります。伝わってきますよ。
・次は「ミスター・マドンナ」という曲です。「レディ・マドンナ」のメロディが最後の方に出てきます。

5.Mr.Madonna / 「solo piano = solo salt」

軽快です。この曲はいつも楽しくなります。
響く低音。足はステップを慣らします。

なんかエレキギターっぽく弾かれてるところも。
音が刻まれて、流れていきます。

サビのパートが繰り返されます。う~ん、心地いい。
いろんなバリエーションでリピート。
左手の低音に支えられて、右手が跳ねます。
ソルトワールドです。

いつまでも終わりません。
いろんなパターンが出てきます。
こういうのを体感できるのがソルトさんのライブの醍醐味!
盛り上がってしまいます。

そして一段と強くなってとうとう終わり。
この曲の進化を感じずにはいられませんでした。

休憩15分

MC

・(楽屋から小走りで出てきたソルトさん、つまずきかけました)段があったのか!あぶない!
・最近NHKづいてまして、本当は昨日も「スタジオパーク」に出る予定だったんです。ところが急遽国会中継になってしまって。せっかく綿密な打合せしたのに。使う写真も選んだのに。
・今日はBS2で(手元のメモを見ながら)6連弾の放送があります…、ちょっとリッキー、「ロクレンダン」の「ダン」が「階段」の「段」になってるよ!(笑)、ピアノが6台並ぶ6連弾ですから。見てくださいね。ボクが編曲した「ボレロ」も多分放送されるんじゃないかな。
・ソルト&シュガー、えー、、佐藤…何でしたっけ?(笑)忘れるわけないでしょ、ギャグです。佐藤竹善さんとのアルバムを13年ぶりに出します。
・ツアーもやります。「”13年ぶり”て、あなた!!ツアー」というタイトルで。ボクが考えたんですけど(笑)9月19日に中京大学文化市民会館プルニエホールでやります。
・「Interactive」という録音盤と「Concert2」というライブ盤が出ます。
・次はジャコ・パストリアスの曲です。もう亡くなってしまって、惜しいです。

6.Three Views Of A Secret (Jaco Pastorius) / 「solo piano = solo salt」

サビの部分がクリアに響きます。
小さくなったり優しくなったり。

ソルトさんはよく「天からおりてきた音をそのまま弾いている」という表現をします。
正に、おりてきた音を弾いているように私は感じました。

この曲も終わりません。
左手で短いリズムを刻みつつ、右手はだんだんと熱く、次は小さく…。
一つの芸術品を作っているみたい。

最後は盛り上がって、強くなってエンド。

MC

・小曽根真=お兄からはたくさんのことを学びました。相手の音を聴くということ。聴いてピアノを弾くということ。
・お兄と一緒にやるとすごいんです。目から鱗が何枚も。アンサンブルの素晴らしさ、音楽に対する姿勢。
・ソロアルバムに小曽根さんの曲を1曲入れました。スローボッサ風にアレンジしています。

7.Walk Alone (Makoto Ozone) / 「solo piano = solo salt」

この曲、私は特に好きです。
エラそうに言ってしまうと、このアレンジにソルトさんの才能とセンスを感じますし、サラッと弾いてしまっているのに芯があると感じさせるプレイが魅力です。
(きっとサラッと弾いてしまえるほど簡単ではないのだと思いますが)

ソロから入ってゆっくりメロディへと進みます。
軽快さに混じってくるブレスが印象的。
左手のリフが心地いいです。

展開は苦しそうな音から。
引き込まれます。
熱い演奏。

最後へ向かってメロディが繰り返されます。
ソルトさんから「アー」という声が漏れます。
指を鳴らし、ステップを踏み、手拍子を入れ…体全体が楽器のよう。

ブレスがあった後、ピアノのフレームを叩くのみで1フレーズ。
こういうのもありです。

元々はソロでもピアノだけを弾く人でした(笑)
デュオでの演奏で小曽根さんがフレームを叩いたりしていて「自由だなあ、自然だなあ」と私は感じました。

それからしばらくしてからです。
ソルトさん自体が打楽器にだんだんなっていきました。

小曽根さんがやってたから自分も、ではなく「自分の音の表現方法として打楽器も選択できるようになった」からではないかなあ。

MC

・永遠とやっちゃいます(笑)ピアノの表現力の豊かさには弾くたびに新しい発見があります。
・ソロアルバムに組曲を入れました。組曲を作ったらピアノがまたわかりますね。
・楽譜も今月中に出ます。弾いてくださいね。譜づらを楽しむというか、絵として見ると楽しいですよ。必ず買ってくださいね。
・(組曲各曲の紹介)

8.組曲「工場長の小さな憂鬱」 / 「solo piano = solo salt」

息をフーッと吐いてから臨みます。

私はテクニック的なことはほとんどわかりませんが、前回よりは緊張の糸も緩まってきているのかなと思いました。
ドラマチックな構成の組曲を生で聴くのは、やはり迫力が違います。

強くガーンと来るところは実際にガーンという迫力で弾いているし、メロディの強弱も肌で感じられます。

「IV 慈愛」は凜とした強さの中に優しさ。メロディがスッと入ってきます。

安らぎを感じる「V うつつと夢」。でも最後は強くなって次へ続きます。
すこし長くなっているように感じたのは気のせい?

いよいよ「VII 彩られる明日へ」
大切に丁寧に始めの音が入ります。
黒鍵が加わってきて徐々に盛り上がってきます。

ある音を出したあとに何度となくピンと上に伸ばされる右手が印象的。
ドラマティックに最高潮に達して、エンド。

アンコール

MC

・クラシックみたいなコンサートになりました。ここはピアノの音色がよく響きます。
・これからもピアノの基礎を繰り返し練習して上達していきたいです。42歳ですけど。
・いろんなアーティストとコラボしてだんだん変化していきました。特に絢香はまだ10代なのに、すごいです。
・次回ライブがあるときも、またどう変わったか聴きに来てもらえたら嬉しいです。
・最後の曲は人との出会いへの感謝、音楽に助けられてきたことへの感謝の気持ちを込めて作りました。

9.Preciousness / 「solo piano = solo salt」

一音一音大切に弾かれているのがよく伝わってきます。
息づかいまでわかります。

すっかりライブの締めの曲として定番になってしまったこの曲、いつも聴き惚れてしまいます。

(20:22)

前回聴いた富山とはまた違った印象を受けました。
何度かライブを重ねてきただけのことはあるな、と。
じっくり聴けてよかったです。

終演後のサイン会でお話ししたところによると、今日は実はピアノがうまく鳴らなくて苦労したそうです。会場はとても好きなところなのだけど、ピアノは最近あまり弾かれてなかったのかな?と。

そのことが私は見抜けませんでした。わかりたかったです。まだまだですね。

ソルトさん「わからなくてよかった。わからなかったということは成功だ(笑)」

この先どう変わっていくのか楽しみです。

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